要旨
- ランデス弱体化+自分と相手の継戦能力の微・向上
- 轟破天を始点とした特殊勝利の難化
- トリガーケアの難化
- これからの【轟破天】に求められるフィニッシャーとは何か
序論
村民・池袋HUMAXの応援上映超楽しかった・まんじゅうです。サイリウムの光と劇場スタッフの方からウッキウキで貸し出される打楽器とシアターを硝煙臭くするクラッカーが心を満たしてくれました。
4月から真の20周年が始まったデュエル・マスターズ。新たに生まれたカードタイプ「S-MAX進化クリーチャー」「タマシード」が早速環境でも活躍を見せている今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。
今回はそれらが【轟破天】というデッキタイプに与えた影響について考察していきます。お急ぎの方は「継戦能力奪取+特殊勝利+防御手段封殺の難化」のせいで逆風かも、という所だけ抑えていただければ問題ございません。
本論
①非生物カード増加に伴う疑似ランデスの弱体化+轟破天詠唱後の継戦能力微増
轟破天の強みの1つとして、相手のマナに直接干渉できる点が挙げられます。これは競合他社(大量展開カード)には無い特色であり、換言すれば差別化のためには無視できないスペックでもあります。
轟破天と単騎マグナムorドラゴ大王+VANベートーベンの展開による相手への疑似ランデスは、クリーチャーが絡むタイプのトリガーケアのみならず、相手の継戦能力奪取にも繋がる非常に有用な戦術です。
呪文1枚から戦況を一気に優位に傾けんとするこのプラン、「相手のマナないしデッキにある程度の枚数のクリーチャーが存在している」という前提が無ければ成立し得ません。引きずり出すカードが無ければ、単騎にもドラゴVANにも引っかかりませんしね。
呪文主体のデッキやオーラデッキにはほとんど損害を与えられず、ともすればこちらのマナを削るだけの虚しい語りがこだまする悲しい事態が発生することは以前からあったのですが……。
そこへ持って来てこのタマシード。天下無双の物語を聞いてもビクともしないどころか、クリーチャーのかわりに進化元として機能するためにいわゆる「進化元用のクリーチャー」を必要としない進化クリーチャー主体のデッキが成立する時代がやってきてしまったのです。
そういったデッキは(王来MAX1弾環境時点では)往々にして初動もタマシードに任せがちなので、轟破天を唱えられるようなターンにはほぼ間違い無くマナから進化クリーチャーを引っこ抜けるはずなのですが。
とは言えデッキに入るクリーチャー数のアベレージが下がってしまったのは変わらないわけで、やはりこの戦術は相対的に弱体化してしまったと見て問題無いでしょう。
ランデスにより相手の動きを封じてゲームの主導権を握ることに全力を注ぐより、ランデスに失敗したとしても轟破天から一方的な状況を作りだせるコンセプトを目指した方が良いのかもしれませんね。
そもそもタマシード全体のカードパワーが高水準なため、単純に対策されにくい防御札として進化クリーチャー主軸のデッキでなくとも採用されがちな昨今。疑似ランデスとしての轟破天には向かい風な状況が、今しばらく続きそうです。
「じゃあ【轟破天】にもタマシード積めば継戦能力上がって良いんじゃないの?」というご意見はごもっともです。実際そういった側面もあるにはあるのですが。
クリーチャーをワンアクションで確実に複数体場に出して勝負を決められることが強みである【轟破天】に、実感できるほど継戦能力を向上させられるだけタマシードを搭載するのは、現状のプールではあまり魅力的な選択に思えません。そもそも呪文主体のデッキにすればこれまでも問題無く行えた動きなのですが。
「轟破天を唱えた後でもマナをたくさん使いたい!」という願いが生まれる時点で、
- 轟破天を唱えただけでゲームを決められるようなフィニッシャーが存在しないデッキである
- マナをたくさん使えるようにするメリットがある=そういった状況を作るためのクリーチャーを展開するのがコンセプトになっている
はずなのです。
そうした構築を目指す場合、
- 轟破天詠唱後にマナを一定量キープする必要がある=轟破天詠唱前に、出したいクリーチャーに加えてクリーチャーではないカードも確実にマナチャージする必要が生じる
- 轟破天詠唱直後にマナを払ってカードをプレイする場合、10コストと重い轟破天の詠唱コストに加えて更なるマナチャージが必要になる
- 轟破天詠唱後に一度ターンを返してマナをアンタップさせる場合、盤面と自分を守る手立てを構築段階から考える必要がある
と、メリットに見合わなさそうなデメリットがどうしてもチラついてしまいます。ここまでして継戦能力を手に入れる+それを活かすデッキを作りたいかと聞かれると、なんとも微妙な気持ちになってしまいます。
進化クリーチャー軸な【轟破天】の下敷きとして使おうにも、予め場に出しておかなければならない手間は無視できません。場持ちの良さが売りとは言えど、バトルゾーンはマナゾーンより除去を飛ばしやすい危険な場所ですし。
②単発式エクストラウィン型【轟破天】の弱体化
相手のクリーチャーをもバトルゾーンに呼び出してしまう【轟破天】にとって、エクストラウィン能力持ちクリーチャーの存在はありがたいものです。
展開された盤面を無視して直接勝利を目指せる確実さが売りのこの戦術。S-MAX進化クリーチャーの登場により、中々強めの逆風を受けています。
相手のマナに敗北置換持ちクリーチャーが1枚置かれるだけで相当渋いのですが、恐ろしいのは「2体目以降のS-MAX進化クリーチャーは場に出た直後に手札に戻る」という特性。
これはつまり、「相手のマナに同名のS-MAX進化クリーチャーが複数チャージされるだけで、その枚数分エクストラウィンを防がれてしまう」ことに他なりません。今なら無料敗北回避チケットプレゼント中。
似たような敗北回避能力を持つ一王二命三眼槍はハンデス+ランデスである程度ケアできましたが、こちらが勝つための準備を整えるだけで勝手に手札に補充されてしまうS-MAX進化クリーチャーのそれはケアしようがありません。
盤面に残った○○MAXを叩けば敗北回避は回避できるのですが、それはすなわち除去手段を轟破天詠唱前にマナチャージしておく手間が追加でかかることと同義なわけで。
自然にデカいサイズのマッハファイター持ちをマナに落とせるようなデッキなら問題は無いのですが、全てのエクストラウィン持ちがそういった構築を許容してくれるかどうかは疑問です。めちゃくちゃ極端な話をするならP・P・P・Pとかそんな余裕ないですし
「じゃあとこしえなりなんなりでマナからの展開を阻害すればいいじゃん!」と言おうにも、轟破天詠唱前にほにゃららMAXがぼっ立ちしているだけで敗北回避できてしまう仕様が立ちはだかります。そも展開阻害を目指すなら、往々にしてそのまま殴り勝つ構築を目指した方が楽だったりしますし。
……おそらく皆様の頭に浮かんでいる「じゃあ敗北置換をすり抜けられるシャコで勝てば良くね?」という言葉に対しては「そうだが……」と返さざるを得ないでしょう。
相手の盤面を気にせずにどうしても轟破天からエクストラウィンしたい場合、その欲求を一番手軽に満たしてくれるのは彼女になりそうです。
サイバー・J・イレブンやアレフティナのような常在エクストラウィン持ちを使うのも手ですが、シャコのそれは対抗馬に比べてあまりに容易なもの。単体性能の低さ以外、【轟破天】妨害されにくいエクストラウィン部門においては頭一つ抜きん出ています。
先行研究で述べている通り、私自身はシャコフィニッシュにめちゃくちゃ懐疑的なのですが。王来MAXで相対的に強化された彼女に向ける目を、今一度改めなければならないのかもしれません。先日しとろん選手がシャコ轟破天でCS準優勝なさってたから僕が逆張りクソオタクなだけだと思います
③トリガーケアの難化
最後は殴ってフィニッシュするタイプの【轟破天】に関する考察。早い話、ドラゴVANナインしてもケアできない防御手段を、この春から全てのデッキが手に入れてしまったんですよね。
厳密には、オーラもそれらのロックをすり抜けられたんですが。予め盤面にGRクリーチャーを置いておかないと機能しない点、そもそも出力が低かった点から脅威度はそこまででもありませんでした。どうしても嫌ならオリジナルに逃げ込めましたからね。
タマシードはそれらの課題を全て解決しています。空の盤面に着地するだけで機能するわ返しのターンの反撃の狼煙になり得るわ、出力も↑2枚だけで相当なもんだわで大変です。2ブロックにまで追いかけてきますよこいつら。
であれば、トリガーそのものを封じてボコスカ殴るのが安牌なんでしょう。ニンジャケアとか邪王門ケアとか言い出したら全然不安になれるので、別方向から妨害できるカードが欲しくなるところですが。
ここまでネガティブな目線でトリガータマシードを評価してきましたが、トリガータマシードが優秀なこと自体は、自分も防御札として採用すればええやん的な意味でそこまで負方向の変化ではありません。
こういう枠に入るのはほぼほぼ呪文でしょうし、むしろ手打ちした後も盤面で圧を放ってくれるので、相手のヘイトを向けさせて延命に繋げることもできるかもしれませんし。
ブースト+強めの除去持ちorデカめブースト+軽めの除去が1枚でこなせるトリガータマシードが出てくれたら、後は言うこと無しなんですが。トラップの地版が限界なんでしょうけどね。あれも十分強いんですけども。
④総括 ーこれからの【轟破天】はどう生きてゆくべきなのかー
ここまでの話をざっくりまとめると、
- ランデスの期待値が下がったため、ランデス量にそこまで依存せずゲームを掌握できるコンセプトが望ましい
- エクストラウィンを目指すなら、自然にマッハファイターなどの除去手段を搭載できるフィニッシャーorシャコを選ぶと良さそう
- 殴って勝つことを目指すなら、トリガーそのものを防ぎつつ別角度からもロックを仕掛けられるカードをプレイしたい
という感じ。
これらを踏まえて、現状のプールの中でわざわざ轟破天を使って実現する意義のありそうなフィニッシュプランを考察していきます。ここに載せてないプランを否定しているわけではないのでご了承ください。性癖じゃないだけです。
①シャコ
そもそも王来MAX前後で自身を取り巻く環境がほぼ変化しなかったシャコは、これまで通り【轟破天】におけるフィニッシャーとして地位を保ち続けることでしょう。
②ミカドレオ+完全不明+etc
性癖。単発式エクストラウィンながら、自然に集まっているはずの8コスト以上×3体と共にターンのはじめを迎えるだけで良いお手軽さは魅力です。
安全にターンを返してもらう手段として完全不明をセットで採用。ジウォッチではカバーしきれないタマシードのプレイにも反応してターンを飛ばしてくれるので、大方安全に勝利を収めることができるはずです。
自然に併用できる除去手段としてはダムドやローゼルドが適任でしょうか。前者は他のマッハファイターコマンドと掛け合わせることで、除去を撒きつつ分裂してミカドのコストを満たしに行ける点がおしゃれです。
③バイラス・カースド+VAN
最後に殴って勝つ部門の考察。
トリガーそのものを封じる枠としては、バイラス・カースドを推していきます。攻撃誘導能力のおかげで単体性能も高い点がGood。
もう一押しのロック枠としてはVANを選択。弱体化したとは言えランデス自体は強力ですし、王来編からこっち増え続けているドラゴンないしコマンドをまとめて屠れる強力さは唯一無二です。
後は全体SA付与なり追加ターンなりで打点を補強してあげれば言うこと無しですね。枠が厳しそうですが何とかVol-8あたりを捻じ込みたいところ。
まとめ
S-MAX進化クリーチャーおよびタマシードの登場による【轟破天】への影響について、考察してまいりました。
販売スケジュール的に半年しか新規カードが増えなそうなプールではあるのですが、これらの存在自体が【轟破天】界に少なからぬ影響を与えていることは明白。しっかり意識・対策をしてから戦場に赴きたいところです。
「こういうフィニッシュプランはどう?」的コメントはどしどしお寄せください。知見はなんぼあっても足らんので。
ここまでご覧いただき、本当にありがとうございます。お相手は村民まんじゅうでした。